株式の発行から配当金の支払いまでの処理について

株式会社

株式会社とは、株式を発行し資金を集め、その資金を用いて経営を行う会社のことです。

株式会社を設立したとき

(問題)
ハル㈱は、会社の設立に際して、株式100株を1株あたり100円で発行し、払込金額を当座預金とした。

借方科目金額貸方科目金額
当座預金10,000資本金10,000

借方(左)
当座預金は資産なので、増えるときは借方(左)に配置します。

貸方(右)
資本金は純資産なので、増えるときは貸方(右)に配置します。(設立時に、株主が株式会社に対して払い込む金額すべてが原則として資本金となります)

※ 資本金とは、会社を運営するための元手となる資金のことです。

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※ 当座預金について学びたい方はこちらへどうぞ

・※ 増資をしたとき

※ 増資とは、資本金を増やすことです。

(問題)
ハル㈱は、増資をするため、株式30株を1株あたり100円で発行し、払込金額を当座預金とした。

借方科目金額貸方科目金額
当座預金3,000資本金3,000

借方(左)
当座預金は資産なので、増えるときは借方(左)に配置します。

貸方(右)
資本金は純資産なので、増えるときは貸方(右)に配置します。(設立時と同様に、株主が株式会社に対して払い込む金額すべてが原則として資本金となります)

当期純利益(当期純損失)を計上したとき

企業は、決算において、収益から費用を差し引いて、利益(損失)を計算します。
収益と費用勘定は、損益勘定に集約されます。
集約後には、損益勘定から繰越利益剰余金に振り替えます。
繰越利益剰余金とは、企業が積み上げてきた利益の合計のことです。

(問題)
×5年3月31日、ハル㈱は、決算において当期純利益100円を計上した。

借方科目金額貸方科目金額
損益100繰越利益剰余金100

借方(左)
当期純利益を計上しているので、損益勘定を借方(左)に配置します。(損益勘定が貸方にある状態なので、損益勘定の残高を0にする)

貸方(右)
当期純利益を計上しているので、繰越利益剰余金を貸方(右)に配置します。(純資産を増やすため)

(問題)
×5年3月31日、ハル㈱は、決算において当期純損失100円を計上した。

借方科目金額貸方科目金額
繰越利益剰余金100損益100

借方(左)
当期純損失を計上しているので、繰越利益剰余金を借方(左)に配置します。(純資産を減らすため)

貸方(右)
当期純損失を計上しているので、損益勘定を貸方(右)に配置します。(損益勘定が借方にある状態なので、損益勘定の残高を0にする)

剰余金を配当・処分したとき

株式会社は、出資である株主のものであるので、利益は株主のものとなります。
したがって、株主は見返りとして、配当金を受け取ることができます。
このことを、剰余金の配当といいます。
しかし、万が一の時に備えて、会社法により剰余金の一部の積み立てが強制されています。
このように利益を会社に積み立てることを剰余金の処分といいます。

(問題)
ハル㈱は、※1 株主総会において、繰越利益剰余金100円を下記のように配当、処分することが承認された。

配当金  50   利益準備金  10

※1 株主総会とは、株式を保有する株主が1年に1度集まって行われる会議のことです。

借方科目金額貸方科目金額
繰越利益剰余金60未払配当金50
※2 利益準備金10

借方(左)
繰越利益剰余金は純資産なので、減るときは借方(左)に配置します。

貸方(右)
未払配当金は負債なので、増えるときは貸方(右)に配置します。(支払いは、後日になるので未払配当金を計上する)

利益準備金は純資産なので、貸方(右)に配置します。

※2 会社法で企業が積み立てることを義務付けられているお金のことです。

配当金を支払ったとき

(問題)
ハル㈱は、株主総会後、配当金50円を現金で支払った。

借方科目金額貸方科目金額
未払配当金50現金50

借方(左)
未払配当金は負債なので、減るときは借方(左)に配置します。(後日、お金を支払わなければならない義務がなくなるため)

貸方(右)
現金は資産なので、減るときは貸方(右)に配置します。