貸倒れって何だろう?売掛金等が回収できなかったときの処理について

貸倒れ

貸倒れとは、取引先の倒産などにより、売掛金などの債権が回収できなくなることです。

当期に発生した売掛金が貸し倒れたとき

(問題)
取引先のモカ㈱が倒産し、当期に発生したモカ㈱に対する売掛金100円が貸し倒れた。

借方科目金額貸方科目金額
貸倒損失100売掛金100

借方(左)
貸倒損失は費用なので、増えるときは借方(左)に配置します。

貸方(右)
売掛金は資産なので、減るときは貸方(右)に配置します。(後日、お金を受け取ることができる権利がなくなるため)

※ 当期に発生した売掛金が貸し倒れたときは、貸倒損失という勘定科目を使います。

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貸倒引当金

貸倒引当金とは、取引先の倒産などにより債権が回収できなくなることに備えて損失額を見積もりあらかじめ計上する時に使う勘定科目のことです。

決算日における処理

(問題)
ハル㈱は、決算日における売掛金残高100円に対して、1%の貸倒引当金を設定する。

借方科目金額貸方科目金額
※ 貸倒引当金繰入1貸倒引当金1

借方(左)
貸倒引当金繰入は費用なので、増えるときは借方(左)に配置します。

貸方(右)
貸倒引当金は資産のマイナス勘定なので、増えるときは貸方(右)に配置します。

貸倒引当金繰入とは、貸倒引当金を計上するときに使う費用科目のことです。
  100円×1%=1円

(問題)
ハル㈱は、決算日における売掛金残高200円に対して、1%の貸倒引当金を設定する。
なお、貸倒引当金の残高が1円あり、※1 差額補充法により処理する。

借方科目金額貸方科目金額
※2 貸倒引当金繰入1貸倒引当金1

借方(左)
貸倒引当金繰入は費用なので、増えるときは借方(左)に配置します。

貸方(右)
貸倒引当金は資産のマイナス勘定なので、増えるときは貸方(右)に配置します。

※1 差額補充法とは、貸倒引当金の残高が残っている場合、当期に設定する貸倒引当金との差額のみを計上することです。
※2 200円×1%-1円=1円

前期以前に発生した売掛金が貸し倒れたとき

(問題)
取引先のモカ㈱が倒産し、前期に発生したモカ㈱に対する売掛金100円が貸し倒れた。
なお、貸倒引当金の残高が1円ある。

借方科目金額貸方科目金額
貸倒引当金1売掛金100
貸倒損失99

借方(左)
貸倒引当金は資産のマイナス勘定なので、減るときは借方(左)に配置します。

貸倒損失は費用なので、増えるときは借方(左)に配置します。

貸方(右)
売掛金は資産なので、減るときは貸方(右)に配置します。(後日、お金を受け取ることができる権利がなくなるため)

※ 前期以前に発生した売掛金には、貸倒引当金が設定されているので、貸倒引当金を取り崩します
  貸し倒れた金額が貸倒引当金を超える場合には、その超過分を貸倒損失として処理します。

前期に貸倒処理した売掛金を当期に回収したとき

(問題)
ハル㈱は、前期に倒産により貸し倒れたモカ㈱に対する売掛金100円を現金で回収した。

借方科目金額貸方科目金額
現金100償却債権取立益100

借方(左)
現金は資産なので、増えるときは借方(左)に配置します。

貸方(右)
償却債権取立益は収益なので、増えるときは貸方(右)に配置します。

※ 貸倒処理した売掛金は、帳簿上ありませんので、収益があったものとして処理する。
  その時に使う勘定科目が、償却債権取立益です。